富士屋ホテル

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「山口仙之助は20歳のときアメリカへ渡り、
将来は牧畜事業がわが国に有益であると信じ、7頭の種牛を買い入れて帰国。
慶応義塾に入学し、福沢諭吉から国際観光の重要性を説かれ
牛を売却して得た資金を元にホテル業を決意。
1878年(明治11年)、500年の歴史を持つ温泉旅館「藤屋」を買収し、
富士屋ホテルを開業する。」
『富士屋ホテルチェーン』ホームページより
牛を売ってホテルを買うというところがものすごい。

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1階に続く階段。

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山の傾斜に建てられているため、玄関が地下1階、
階段を上がったところにある1階にメインロビーがある。
こいのぼりが泳いでいました。

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富士屋ホテル 本館
1891年(明治24年)
「社寺建築を思わせる瓦葺屋根、唐破風の玄関が特徴の建物」
登録有形文化財

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別角度から撮った本館。
ガラス戸に囲まれた部分はサンルーム。

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サンパーラー
地下1階から階段を登ったところにあるサンルーム。
神社のような赤い手摺が特徴的。
日曜日は結婚式の受付として使われていました。

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サンパーラーの手摺に巻きつく龍。

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サンパーラーからロビーに向かうところには猿と蛇が。
不思議に思って聞いたところ、ここを鬼門と見立て、
蛇を悪いものの象徴とし、猿は悪いものからホテルを守ってるんだそうです。
えらいぞ、猿。

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本館1階ロビー。

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回転ドアのラインも美しい本館入口。

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1937年、ヘレン・ケラーが富士屋ホテルに滞在したときには
ホテルで飼っていた尾長鶏を非常にかわいがったそうです。
ロビーにはその尾長鶏の彫刻が残されています。

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階段上は客室ですが、この日は結婚式の控室になってました。

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マジックルーム
かつて宿泊客の余興としてマジックを披露していたことから
マジックルームと名づけられているロビー。

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マジックルーム。
天井カーブのデザインは、ダイニングルームや
カスケードルームにも踏襲されています。

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オーキッドラウンジ
日本庭園に面したティーラウンジ。

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フォレストロッジから眺めた富士屋ホテル全景。
瓦屋根なので西洋館も上から見ると日本家屋のよう。


富士屋ホテル 西洋館

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富士屋ホテル 西洋館
1906年(明治39年)
登録有形文化財

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1号館「カムフィ・ロッジ」、2号館「レストフル・コテージ」、
同じデザインの2棟からなる木造2階建て。

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日本庭園から2棟をつなぐ廊下を見たところ。
廊下の扉から庭へ出て行ける。

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本館から西洋館へ続く廊下は日本庭園に面していて
窓から差し込む光も美しい。

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窓とは反対側には日本の伝統行事を英文で説明した絵や
ヘレン・ケラー、マッカーサー、ジョン・レノン、チャップリンなど
歴代の宿泊客の写真が飾られている。

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1階、階段下の空間に作られたなぞの部屋。
シーツなどが置かれてるのではと推測。

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2階へ向かう階段。

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天井のライトまわりの模様も凝っている。

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2階から日本庭園に面した窓を見る。

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こちらも美しい2階の廊下。

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2階の客室。

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私が泊まった西洋館のツインルーム。
庭に面した角部屋で、建物の形にあわせて部屋が多角形になっている。
写真ではわかりにくいけど天井が高くてびっくり。普通の2倍くらい?

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ベッドの左側に洗面台があるあたり西洋風な感じ。
まん中には不自然なドアがあり、
おそらく昔は隣の部屋がゲストルームかなんかだったのでは。
右側の扉はバスルーム。

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バスルームを外から見たところ。
廊下に張り出しているため、部屋の中はともかく、
バスルームは結構、外の音が響いてちょっと落ち着かない。
なぜか鐘のような模様がついている。

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部屋の前のドアから庭へ出られる。
(このページ一番最初の写真の建物中央にあるドアがこれ)
ここにも鐘のモチーフが。

富士屋ホテル 花御殿

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富士屋ホテル 花御殿
1936年(昭和11年)
設計は富士屋ホテル2代目専務、山口正造。
写真ではわからないけど、1階の屋根にライオンの像があります。
登録有形文化財。

「大きな千鳥破風の屋根を持ち、校倉造りを模した壁が特徴。
43室全てに花の名前が付けられており、
客室のドア、カギなど、細部に花のモチーフが使用されています」
『富士屋ホテル』ホームページより

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廊下に展示されている当時使われていた花のルームキー。
ホームページで最初に読んだときは「なんて素敵!」と思ったのだが、
実物の鍵を見たら、これがタテ20センチくらいあり、
持って歩くには不便極まりないんじゃないかと。
フロントにも同じような鍵があったので、今でもこの大きさなのかも。

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鍵アップ。「ハイビスカス」?

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部屋のドアにも花の絵が。
「TRUMPET FLOWER のうぜんかずら」

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花御殿地下1階のロビー。
以前はビリヤードもできたらしく、壁にスティックが飾られていました。

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同じく地下1階。アンティーク調の家具が素敵。
奥に見えるのはチャペル。

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クラシック・チャペル。
あとからチャペルが作られたので、
ビリヤードができなくなったんじゃないかと推測。
中央の階段を下りていくと地下2階で、マッサージルームがあります。
地下2階といっても、坂の上に建てられているので、
扉の向こうは庭に出られるようになっていました。

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ルー・ド・ラペ(Rue de la Paix 平和通り)と名づけられた
花御殿から本館へ続く地下廊下。天井のガラス窓から採光。
両側にはホテルで使われている食器ブランドの広告などが飾られています。

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天井の灯りのデザインもかわいい。

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室内温泉プールAngel Spa
温泉を利用した室内プール。
壁に絵が飾られていたり、白いテラスがあったりする
西洋趣味が今では新鮮。

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階段を上がった2階は更衣室になっている。

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富士屋ホテル資料室
富士屋ホテルの歴史や宿泊した著名人を写真で紹介。
かつて使われていたホテルの銘が入った食器やタイプライター、
そして虎の剥製なんかも展示されている。

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資料室を入ったところ。左上に飾られているのは
新婚旅行で富士屋ホテルに宿泊した三島由紀夫夫妻の写真。


富士屋ホテル フォレストロッジ

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富士屋ホテル フォレストロッジ
1960年(昭和35年)

富士屋ホテルの中では最も新しい建物なので、
このレトロ建築群の中では目新しさを感じないが、
それだけみると60年代っぽい造りがなかなかいい味をだしている。
黄色い壁に赤い欄干のような手摺ってとこが富士屋ホテル。
1887年(明治20年)に建てられた旧フォレストロッジの名前をそのまま引き継いでいる。

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階段の雰囲気とかリノリウム(?)の床がなんとも60年代っぽい。
古い学校とか病院ってこんな感じだったよね。

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なぜかあちこちに大きな扉が。
階段のところは二重で扉がある。防火対策?

富士屋ホテル 菊華荘

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富士屋ホテル別館 菊華荘
1895年(明治28年)に皇室御用邸として建設。
1933年(昭和8年)、高松宮家別邸。
1946年(昭和21年)、高松宮別邸の払い下げを受け、菊華荘となる。
登録有形文化財。

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豆腐料理をねらっていたのですが、時間があわず外から眺めるのみ。

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富士屋ホテルと対照的に、こちらは数奇屋風書院造りの純日本建築。

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S・M・SHIBA 芝商店
菊華荘の向かいにあるアンティークショップ。
富士屋ホテルの外国人客に日本土産を販売するために
つくられた明治創業のお店だそうです。
建物はいつのものだかわかりませんが、
ちょっと富士屋ホテルのような和洋折衷。

富士屋ホテル etc

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ダイニングルーム ザ・フジヤ
1930年(昭和5年)
日光東照宮本殿をモデルにしたというメインダイニングルーム。
大きな窓に簾というところが富士屋ホテルらしい。

部屋のベッドサイドには「歴史あるダイニングルームには
ドレスアップがお似合いかと存じます。浴衣はご遠慮下さい」
という注意書きがあり、「お似合いかと存じます」にしびれました。
ドレスアップしなかったけど、フランス料理のコースディナーは
とてもおいしかったです。
コースメニューの裏に英文で日本の行事の説明が書かれており、
私が行ったときは「子供の日」について。
こいのぼりは、滝を遡る鯉に、困難を乗り越える勇気を見ているためだとか、
兜は戦地へ向かう武士を真似ているとか、あらためて聞くと勉強になりました。

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劇場の桟敷のような飾りやライオンの彫刻も。

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天井には636種類の高山植物が描かれ、
天井付近の壁には507羽の鳥と238匹の蝶、
その下には十二支を中心とした動物の彫刻がある。

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柱の下にはなぜか鬼の顔が。
従業員を監視している富士屋ホテルの
2代目専務、山口正造を表わしたものだとか。

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そして、ダイニングルームの入口付近には
なぜかお釜を担いだ異形の像が。

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ダイニングルーム外観。

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カスケードルーム
1920年(大正9年)
富士屋ホテルの宴会場。
庭の小滝が望めるのでカスケード(小滝)ルームと名づけられた。
日本の伝統行事が欄間やステンドグラスに描かれている。

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カスケードルームのステンドグラス。
部屋には誰もいなかったものの披露宴の準備がされていたので、
ちょっとのぞくだけで退散しました。

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日本庭園
水車小屋、温室、屋外プールまである日本庭園。
まだ桜が残っていて、夜にはライトアップされていました。

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ティーラウンジから見える庭の小滝。
廊下からはこの部分しか見えないので、小さな庭だと思って、
階段を登っていったら、広い庭があってびっくりしました。

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庭にある白い銅像は富士屋ホテルを開業した山口仙之助。


箱根ホテル

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箱根ホテル
1992年
設計:堀池秀人都市・建築研究所

芦ノ湖畔に立つ箱根ホテル。
富士屋ホテル系列のホテルなので、富士屋ホテルの資料館には
かつての箱根ホテルの写真も展示されていました。

1922年(大正11年)、野村洋三氏所有のホテルを
富士屋ホテルが買収し、箱根ホテルを設立。
1923年(大正12年)、営業を開始するも、関東大震災により全壊。
1951年(昭和26年)、青い瓦に白い壁、スペインの修道院のような
アーチ型回廊を取り入れた箱根ホテル新館が完成。
その後、老朽化にともない、1992年改築。

現在の箱根ホテルはデザイナーズホテルというか
リゾートホテルというか、美術館のような表玄関にまずびっくり。
ロビーだけちょっとのぞいてみましたが、
コンクリートのまっすぐな壁、湖に向かって大きく開いた窓など、
非常に都会的なデザインでした。
コの字型の建物で囲まれた庭や桟橋は
宿泊客しか出れないようになっているみたいです。
富士屋ホテルには熟年夫婦が似合いそうですが、
若者カップルならこっちのほうが落ち着くかも。

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横から見たところ。

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正面玄関。
恩賜公園に行く途中で見かけて、いったい何の建物かと思いました。