明日館

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自由学園 明日館
1921年(大正10年)
設計:フランク・ロイド・ライト、遠藤新

仕事で一度訪れたことがあるのですが、
そのときは夜だったし仕事中だったので、桜の季節に再訪。
見学会の時間にも間に合ったので係りの方に案内してもらいながら見学。
以下、その受け売りですが。

1921年、羽仁吉一、もと子夫妻が自由学園を創立。
同じ教会に通っていた遠藤新の紹介で、
旧帝国ホテル設計のために来日中だったライトに学園の設計を依頼。
学校として使われたのは13年間だけで
生徒が増えて手狭になったため1934年、学園は東久留米に移転。
学園施設として使われていたが、老朽化が進み、
解体か保存か論争ののち、1997年、国の重要文化財の指定を受け、
1999年、保存・修理工事が行なわれ、2001年、完成。
現在は“動態保存”をめざし、一般に公開され、イベントにも利用されている。

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この“動態保存”という考え方がすばらしい。
内部を自由に見ることのできる建物は非常に少なく、
ましてやライトの建物を希望すれば使うこともできる。
実際、前に仕事で来たときは某作品の発表会会場として利用されており
かわいい建物の内装と作品の内容がよく似合っていました。

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Rm1921
1921年の第1回入学式のときに唯一完成していた教室。
現在は学園のPRルームになっている。
当時は天井の灯りはなく、生徒たちは窓からの光のみで勉強していたらしい。
ライトは床に落ちる影にもこだわり、窓は観音開きになっている。

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食堂
自由学園の方針で食事は生徒の自ら当番制で調理、
全員で食堂で食べていた。この明日館でもいちばん美しい部屋。
天井の灯りのデザインもライトによるもの。

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暖炉のまわりには自然に人が集まり交流の場になるからと
暖炉にもライトはこだわった。
現在は重要文化財なので火気は使用できず、
年に1、2回、消防許可を得てから火を入れるのだそう。
側にある椅子は当時作られたもの。

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食堂のテーブルと椅子のお金を稼ぐために
生徒による英語劇が行なわれたが、予算が足りず、
一枚板ではなく、半分の板をつなぎあわせるデザインで人数分の椅子が作られた。
六角形の椅子はかわいいけれど、実は工夫の結果だったんですね。
食堂に並べられているのは復刻されたもの。購入も可能。

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三方にある小食堂は竣工当時はバルコニーだったが、
生徒の人数が増えたので1923年ごろ遠藤新によって改築された。
この小食堂もかわいくて好きですが、竣工当時の写真を見ると、
ここに幾何学形の大きな窓があり、それもとても素敵でした。

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まん中部分に増設された小食堂。

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入口の扉。幾何学模様が美しい。

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ラウンジホール
かつては礼拝に使われていた。
見学の際に喫茶付き見学券(600円、見学のみは400円)を買うと、
ここで紅茶とお菓子をいただくことができる。
両側の柱のデザインが旧帝国ホテルによく似ている。

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出エジプト記の情景を描いたフレスコ画の壁画。
創立10周年の記念に生徒によって描かれたものだが、
おそらく戦時中に塗りこめられ、修復の際に壁の下から現われ復元された。

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ラウンジホールの窓。建物の正面にあたり、目の前に桜の木が見える。
生徒の手で開閉できるように、修復前には真横に敷居が入っていた。
なるべく修復前の素材を利用しているので、
ガラスの一部は昔のままで外が少しゆがんで見える。

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庭の大きな桜の木。
立ち止まって見上げる人たちも多かったです。
桜の向こうの建物は遠藤新の息子、遠藤楽によるもの。

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建物正面。左右対称のデザインは
平等院鳳凰堂がモチーフとも言われるが実際のところは不明。
低い軒高の水平を強調した“プレーリーハウス”とよばれるスタイル。

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東教室棟
1925年(大正14年)竣工。

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西教室棟
1922年(大正11年)竣工。
ここらへんはギリシアの影響も見られる。

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まあ、ライトにしてみれば帝国ホテルの片手間だったのでしょうが、
予算がふくれ上がって最終的には解雇されてしまった帝国ホテルに対し、
こちらは限られた予算で質素に作った学校で
ライトも日本を発つときに学園の人々に「温かい心を感じた」と
涙ながらに述べたそうです。

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明日館 講堂

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明日館 講堂
1927年(昭和2年)
設計:遠藤新

ライト帰国後、遠藤新によって作られた講堂。
明日館と調和するデザイン。

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講堂外観。

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婦人之友社
1963年
設計:遠藤楽
自由学園の創立者でもある、羽仁吉一、もと子夫妻によって
1903年(明治36年)、雑誌『家庭之友』が創刊。
婦人之友社屋は遠藤新の息子、遠藤楽によるもの。
自由学園 明日館、明日館講堂、婦人之友社屋と
フランク・ロイド・ライトのデザインを受け継いでいる。