東京ドームホテル

doom08
東京ドームホテル
2000年
設計:丹下健三・都市・建築設計研究所
施工:清水建設・竹中工務店・大成建設 建設共同企業体
地下3階・地上43階(塔屋2階)
高さ 155m
客室数 1006室

丹下健三晩年の作。
シンプルすぎて物足りないという人もいるでしょうが、
フジテレビや都庁などアクの強い建物の後では、このシンプルさが美しく見えます。

東京ドームホテルによると、
キーコンセプトは“アーバンパラダイス”。
ホテルのデザインは“Gate(門)”、“Flow(流れ)”、“Contact(出会い)”の
3つの要素から成り立っているんだとか。

「キーコンセプト“アーバンパラダイス”は、人々が何かを求め、集い、交流する場
であると考え、東京ドームシティを訪れる人々を迎える大きなサインとして、
また人々に末永く愛されるランドマークとなるように、
地上155メートルのホテルの建物で“Gate(門)”を表現しました。

外装材には濃淡グレーのセラミックプレートと
透過性と反射性を合わせもつガラスを使用し、
刻々と表情を変えていく空や都市の景色を映し出します。

ダイナミックな“Flow(流れ)” をデザインに取り入れました。具体的には、
建物の側面にあるシースルーエレベーターや低層棟の三日月のかたちをはじめ、
インテリアの細部にいたるまで曲線を効果的に使用し、
建物全体に軽快でアクティブな表現を展開しています。
これらの曲線は、東京ドームホテルの格式張らず訪れる人々を柔らかく迎え入れる
カジュアルな感覚を生み出しています。」
東京ドームホテルより引用。

doom04
高さ155m、幅80m、奥行き20mの薄い板状の建物。
「建物の配置計画とヴォリュームの方向性は、
敷地に隣接する小石川後楽園からの景観への配慮、建物の高さを155m以下、
さらに見えがかりの見付幅を極力抑えることを考慮して決定されました。」
丹下健三・都市・建築設計研究所のサイトより引用。

doom05
サイドにあるシースルーエレベーター。
目の前のアトラクションと似ているように思えるのは
おそらく意識してデザインされている。

doom03

doom07
ロビーラウンジ。

doom06
ロビーチャペル「ザ・ステージ」
吹き抜けの上の2階に突然あった式場。
ホテルのサイトには「宙に浮かんだような幻想的なチャペル」と
書かれているが、なんだか安っぽい。

doom09
東京ドームラクーア

doom02
ラクーア
2003年にオープンしたエンターテインメント融合型商業施設。
基本デザイン:竹中工務店+RTKL
設計・施工:竹中工務店

doom01
ラクーアってスパのイメージが強かったんですが
ジェットコースターやメリーゴーランドもあってミニ遊園地みたい
と思ってよく考えたら、ここは元「後楽園ゆうえんち」だった。
東京ドームを含め、来客数が減ったため、リニューアル。
「東京ドームシティ」に名前を変え、入場料も無料にしたそうです。


山梨文化会館

ybs02
山梨文化会館
1966年
設計:丹下健三
地上8階、地下2階

“丹下マニア”というわけではないんですが、
甲府に丹下健三の建物があると聞き、途中下車。
北口を降りたとたん、「あ、あれだ」とわかる存在感、
現役の建物でありながら、すでに廃墟のようなオーラを発しているあたり、
さすが丹下健三。見に来てよかった。

“山梨文化会館”は、山梨日日新聞社、山梨放送など、
山日YBSグループ14社の総合管理会社の名前。
建物の地下にはYBSホールもあります。

「収容される新聞、放送、印刷の三つの企業体における
相互の独自性や関連性を処理するため、
三次元的ネットワークを、小さいスケールで実現しようと考えた。
“コミュニケーション・シャフト”と名付けた
直径5mほどのシリンダーを垂直の道と構造を兼ねて立て、
なかには階段、エレベーター、空調・電気などの設備システムを入れた。」
KENZO TANGE OFFICIAL SITEより

これをシンプル化すると静岡新聞・静岡放送東京支社になるのかな。
静岡新聞・静岡放送東京支社には山日YBSの東京支社があるそうです。

ybs03
正面から見たところ。
縦横4本ずつ、計16本の円柱並ぶ。
建物の前が空き地になっているので、ポツン感が漂う。

ybs01
山梨放送の電光掲示板が光る。

ybs04

ybs05
後ろ側。ひと目見ただけでは構造がよくわからない。
変なところに空間があるので、なんだろうと思ったら、
元から増設を意識してスペースが用意されていたらしい。
実際、増設が行なわれているので、当初の姿とは少し異なる。

ybs06
螺旋階段がなんだか不思議。

ybs07
おまけで、目の前の空き地から撮影した富士山と甲府城跡。

ybs08
逆に、甲府城跡から見た山梨文化会館。
建物の前は甲府駅。離れてしまうと意外とめだたない。
電車からも見えるのだが、どおりで今まで気がつかなかったはず。

丹下健三 死去

tocho

都庁は好きじゃないけど、目の前に立つとやっぱり圧倒される。
権威主義的だとか、いろいろ言われたけど、それでも都庁は美しいのだ。
何かを語れる建物をつくれるというだけで丹下健三という人はすごい。

フジテレビ(96年)とか都庁(91年)とか90年代の作品は好きになれないけれど、
赤坂プリンス(82年)や代々木体育館(64年)は文句なく美しい。

はたして築地電通ビルは壊されてしまうのだろうか。
「丹下健三の建物は年のとりかたが予想できない」
という言葉をネットでみつけたが、時代を生きた人だけに
ある建物は今ではひどく年老い、ある建物は今でも驚くほど新しい。
建築家が死んでも建物は語り続けるだろう。
50年後の都庁の姿が今から空恐ろしい。

築地電通ビル

dentsu01
築地電通ビル(旧電通本社ビル)
1967年6月
設計:丹下健三、都市建築設計研究所
地上13階・塔屋2階・地下3階

コンクリートの色のせいか、今見ると古くさい感じもするが、
それだけ時代を表している建物だということ。
2002年、汐留の電通本社ビルが完成し、現在は電通テックが入居。

柱と柱の間を9メートルの長大スパンとし、
階段・エレベーター・トイレを中央に集めるコアシステムを採用。
銀座旧社屋の4.9倍の広さで、大型電子計算機、カラーテレシネ、試写室、
コンシューマーズ・ルーム、プレゼンテーション・ルームなどの設備を装備。
旧社屋から約1.2キロメートルの距離を引っ越しパレードが行なわれた。
しかし、その後4年ほどで手狭になり、周辺ビル14ヵ所に業務が分散、
1994年に完成したばかりの聖路加タワーに営業部門を中心に移転。
聖路加タワーの6割を電通が占め、築地・明石間はシャトルバスが運行していた。
『目で見る電通史』より抜粋(←おもしろいのでオススメ)。

dentsu02
「思い入れのあるビルだから生きているうちは取り壊さないでくれ」という約束が
丹下健三と先々代(?)の電通社長との間にあるのだとか。
この約束が本当かどうかはともかく、
建物と建物を縦横につなぐ三次元ネットワークなる都市像を
丹下健三は真剣に考えていたらしい『築地再開発計画』
その片鱗は都庁のデザインにも見られる。

dentsu03
窓の形などのユニークさがわかりにくいので手前のビルから撮影。

静岡新聞・静岡放送東京支社

tange
静岡新聞・静岡放送東京支社
1967年
設計:丹下健三
地下1階、地上12階

私の印象は“木の枝に葉っぱ”。
ずいぶん奇抜なデザインですが、
高速の横にあるせいかあまり気にならない。

1970年、同じく丹下健三によって作られた
静岡新聞・静岡放送本社は、このビルの発展形のように見えます。

国連大学ビル

shibuya04
国連大学ビル(UNハウス)
設計:丹下健三
竣工:1992年

日本政府が建設を担当し、国連大学に無償貸与され、敷地も東京都から無償で提供。
ウ・タント国際会議場、エリザベス・ローズ会議場、国連大学本部のほか
国連児童基金(ユニセフ)、国連難民高等弁務官事務所をはじめ
7つの国連機関の東京事務所が入っている。

shibuya05
なんのことだかよくわかりませんが、「純ラーメン構造、
逆Y字形ブレースを用いたスーパーフレーム架構」だそうだ。

赤坂プリンスホテル

akasaka08
赤坂プリンスホテル(新館)
設立:1982年
設計:丹下健三・都市・建築設計研究所
施工:鹿島建設、西武建設

東京都庁やパークタワーで有名な丹下健三の作品。
80年代という建てられた時代もあるかもしれないけれど、
“モダン”の感覚がちゃんと形になっている建物。
ガラスの墓標のように見える都庁よりもずっと好きです。

水晶の柱をモチーフにしてるとのことで
言われてみればそんな気もします。

全体がジグザグの扇形になっているため、
ひとつひとつの部屋がすべて“角部屋”になり、
大きな窓から眺望が楽しめるようになっているとかで、
ホテルということを考えると、このデザインはかなり実用的じゃないでしょうか。

ホテルの営業自体は1950年に始まっています。
戦後は華族などが没落して、それまで住んでいた土地や屋敷を売り払い、
跡地が宿や料亭に使われることが結構あったみたいですが、
旧館が李王家の建物だということを考えると、
ここにもそういう歴史があるのかもしれません。

akasaka11
ジグザグの扇形。
客室からは2方向が眺められる造り。

akasaka09
ホテルの入口から続く桜並木。手前は弁慶橋。

akasaka10
ホテル入口。

akasaka13
弁慶堀。